三菱商事をはじめ総合商社
ファイザーやエクソンモービルが上昇

 急激な価格上昇によって、一部の投資家が利益確定の売りを入れた。それをきっかけに、他の投資家が追随して売りを入れた。その結果、一時、売るから下がる、下がるから売るという流れになった。

 7月下旬、世界の株価は下げ止まる兆しが見えてきた。8月以降、相場は徐々に安定した。その中で起きた変化としては、売られたAI銘柄を買い戻しつつ、在来分野の株式にも資金を振り向ける投資家が増えたことだ。

 日本では三菱商事をはじめとする総合商社株、米国ではファイザーなどの製薬大手、エクソンモービルなどエネルギー大手の株価が上昇した。

 この背景には、中国のAIモデル、半導体、半導体製造装置分野の追い上げがある。競争激化への警戒感の高まりは、セクター配分の変更に影響した一因と考えられる。

ベッセント米財務長官も慌てた?
インフレに財政悪化で金利上昇か

 AI相場に変化をもたらした要因に、世界的に長期金利が上昇したことは見逃せない。

 1年前は、米国債の利回り曲線(横軸に年限、縦軸に金利を取り年限ごとの金利水準を線でつないだグラフ)の形状は、3年の金利を底にしたU字の形状だった。しかし今は、かなり直線的な右肩上がりの形状に変化している。

 わが国も同様だ。ドイツやフランスなどのユーロ圏諸国、英国、韓国、マレーシア、オーストラリアでも、利回り曲線の形状はおおむね右肩上がりだった。ところが、金利の先高観が台頭すると、投資家は国債に投資して得られる追加のプレミアムを要求し始めた。

 投資家が懸念しているのは、インフレに加えて主要国の財政悪化だ。米国では、イラン攻撃やトランプ減税で連邦財政赤字が急増している。8月、ベッセント財務長官は、国債の買い入れ消却を予定額に拡大した。財政悪化による金利上昇を抑えることに慌てたとみられる。