日本が警戒すべきは「中国人」ではなく依存構造
この状況に日本どう対応すべきかは、次の3つにまとめられる。
第一に、重要物資の対中依存をさらに下げることである。重希土類、医薬品原料、半導体関連素材など、供給途絶時に代替が困難な物資については、調達先の分散、国内生産、備蓄を進めなければならない。
第二に、中国企業だけの信用力ではなく、中国国内の港湾、電力、通信、物流まで含めてサプライチェーン全体のリスクを評価することだ。有事には企業が正常でも、その企業が依存する社会インフラが国防目的へ転換される可能性がある。
第三に、重要インフラと機密情報について、国籍によらない厳格なアクセス管理とインサイダーリスク対策を進めることである。
そして何より、日本は中国の安全保障法制を、個別の法律としてではなく、一つの体系として見る必要がある。
2026年に中国が突然、総動員国家へ変わったわけではない。2010年にすでに存在していた有事の国防動員制度に、習近平政権下で構築された平時の国家安全保障法制が重なり、今回の改正によってデータ、サイバー、新興技術、人的資源、民間資産まで含む現代戦仕様へ更新されたのである。
平時には情報とデータを国家安全保障へ組み込み、有事には人、物、企業、インフラを国防へ転換する。中国の「人民総動員」体系は、そこまで来ている。
日本が考えるべきなのは、中国人を一括して警戒することではない。この制度を持つ国家に、日本の医薬品、重要鉱物、製造業、物流、インフラがどこまで依存してよいのか。問題はそこにある。改正国防動員法の施行は、日本にその問いへの回答を迫っている。
(評論家、翻訳家、千代田区議会議員 白川 司)







