自動車 “最強産業”の死闘#43Photo by Koyo Yamamoto

ホンダが電気自動車(EV)の主力車種の発売を中止するなど四輪事業の戦略を見直す中、系列サプライヤーはどのように対応していくのか。ランプなどを手がけるスタンレー電気の貝住泰昭社長は、ホンダの四輪事業が不振にあえぐ中でも「営業利益率10%」を死守する決意を示す。そして、自社のコスト競争力については「中国メーカーに追い付くめどが立った」と言う。その自信の背景には何があるのか。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』の本稿では、貝住社長のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ホンダのEV戦略見直しは、ランプ事業に影響ない
中国の競合サプライヤーとのコスト差は約15%

――スタンレー電気の売上構成比率の4割程度を占めるホンダが、EV(電気自動車)の主力車種の発売を中止し、HEV(ハイブリッド車)注力を掲げています。この軌道修正は、スタンレー電気にどのような影響を与えますか。

 パワートレインがEVかHEVかによる当社への影響はありません。パワートレインの種類よりも、ホンダ全体の生産・販売台数が出るかどうかの方が重要です。工場シフトを3交代制でフル稼働させることがコスト的に有利ですから、台数が出てくれることが一番ありがたいです。

――スタンレー電気の2025年度の全社営業利益率は8.2%でした。自動車機器事業は同10.0%で、自動車サプライヤーの中では、高収益です。しかし、ホンダは、中国勢に押され四輪の販売台数が減少しており、これがスタンレー電気の営業利益率を押し下げる懸念があります。

 株主に対する「責任利益」として、営業利益率10%を死守します。また、当社にはコスト削減など内部努力できる部分がまだまだ残っています。

――しかし、自動車メーカーに加えて、自動車サプライヤーでも中国勢がコスト競争力を武器に躍進しています。

 現在の発売車種に搭載された製品では、中国サプライヤーより当社の価格の方が(コストが)15%程度高いです。

 ですが、今期に入ってから、(中国サプライヤーのコストに追い付く)めどが付いてきました。追い付けることは間違いありません。

 2年後に市場へ投入される車種に向けて現在提示している見積もりでは、中国メーカーと遜色のない価格になっています。

――なぜそこまでコスト競争力を高められるのでしょうか。

ホンダの四輪事業が苦戦する中でも、「責任利益」として、営業利益率10%を死守すると決意する貝住社長は、中国系サプライヤーと同等のコスト競争力を持つことに自信を見せる。いったい、どのような取り組みが功を奏しているのか、次ページで明らかにする。また、中国自動車メーカーとの取引の拡大方針や、ADAS(先進運転支援システム)への対応についても語ってもらった。