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自動車業界アンケートで、自動車メーカーの役員、社員ら170人に中国ビジネスについて聞いた。中国での販売不振の「影響は甚大だ」と答えた比率は、メーカー間で大きな格差があり、それに対する自社の対策への評価にも各社で開きがあった。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人アンケートで示す“危機の本質”』の本稿では、中国事業の課題と展望を、業界関係者の“本音”から明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
ホンダ、日産は中国での販売が5年で半減!
「規模縮小だけでいいのか?」との声も
中国は、世界最大の自動車市場だ。年間の出荷台数は3000万台を超える。日系自動車メーカーにとっても重要な市場であることは間違いない。
だが、日系自動車メーカーは中国市場で大苦戦している。中国の自動車メーカーとの激しい値引き合戦を強いられているからだ。ただし、日系自動車メーカーでも、中国市場でのパフォーマンスは微妙に異なる。
例えば、日産自動車の2024年の中国での販売台数は5年前から55%も減った(販売台数69万6631台)、ホンダも同45%減だった(同85万3718台)。両メーカーにとって「ドル箱」だった中国は、過剰な生産設備の削減が必須の問題市場になっているのだ。
一方、トヨタ自動車の24年の同国での販売台数は5年前より10%増の177万5995台となっており、日産、ホンダほど急激なシェア低下には見舞われていない。それでも、中国の現地メーカーとの価格競争に巻き込まれていることは共通している。
こうした中国市場での不振が自動車メーカーの経営に与える影響を、ダイヤモンド編集部が自動車業界アンケート(下図参照)で聞いたところ、以下のような結果になった。
「影響は甚大だ」が回答者の29%、「影響はある」は同44%に上った。
さらに、アンケート回答者が勤務する、あるいは勤務していたメーカー別(トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱自動車工業)に回答を分析すると、中国事業への危機感はメーカーによってかなり違うことが分かった。同様に、自社が行っている中国事業の構造改革に対する評価も、メーカーの間で大きな格差があった。次ページでは、回答者のコメントも交えながら、日系自動車メーカーの中国事業の現状と今後の課題を徹底解明する。









