Photo by Koyo Yamamoto
日産自動車系列の部品メーカー、河西工業は、26年3月期に7年ぶりの最終黒字に転換し、27年4~6月期も大幅増益となっている。陣頭指揮を執るのは、日産の購買部門出身の古川幸二社長だ。業績急回復の裏側には、経営不振を招いた悪習の払拭とてこ入れ策が存在した。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』の本稿では、古川社長のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
日産とりそな銀行の支援受け、経営再建中の河西工業
日産購買出身の古川社長、立て直し策の全貌は?
日産自動車系列の部品メーカーで、内装部品を手掛ける河西工業の業績が急回復している。
2026年3月期の最終損益は40億5200万円の黒字(前期は91億8200万円の赤字)で、7年ぶりの最終黒字だった。27年4~6月期の最終損益も31億3500万円の黒字(前年同期は5億4200万円の赤字)となり、黒字転換した。27年3月期通期の最終利益は前期と同水準の40億円を見込む。
河西工業は、主要取引先である日産の販売不振などの影響で、20年3月期から25年3月期まで6期連続の最終赤字に陥っていた。
24年に日産が60億円の優先株出資を行い河西工業の筆頭株主になった。メインバンクのりそな銀行は河西工業への貸出金176億円のうち60億円を劣後ローンへ転換するなど支援を行った。同じく24年には、日産の購買部門出身の古川幸二氏が社長に就任し、本格的な経営の立て直しが始まった。
主要取引先の日産は、いまだ経営再建中だが、一足先に最終黒字に転換した河西工業は、どのように再建を進めてきたのか。
また、自動車部品メーカーのイクヨが河西工業株の取得を進めており、株式市場で注目を集めている。イクヨは株式取得の狙いについて「両社が保有する生産技術や経営リソースの統合をさらに深め、国内およびグローバル市場における生産・販売シナジーを最大化」するためだと説明しているが、河西工業はどう対応するのか。
河西工業の陣頭指揮を執る古川社長を直撃した。
――24年10月に河西工業の顧問、同年11月に社長に就任しました。
着任するまで、河西工業とコンタクトを取ることが一切できず、事前の準備ができませんでした。着任時に初めて分かったのですが、24年4月の段階で、約140ページにも及ぶ「再建計画書」が出来上がっており、その計画内容は非常に素晴らしいものでした。
「この計画に沿って、再建を進めればいいだろう」と思い、中身を見ていたところ、売り上げ計画もコスト改善計画も「楽観的」でした。そのため、「これだけの利益が出る」という見込みに対して、実態は全くの逆。売り上げ見通し(に対して現実)はもっとシビアで、コストはもっと高かった。
この再建計画では「27年度に営業利益100億円を達成する」となっていましたが、実際には、27年度になっても大赤字が続くことが分かりました。
これを知ったとき、目の前が真っ暗になりました。
前経営陣の下で作られた再建計画では、大赤字が続くと判断した古川社長。どのように7年ぶりの最終黒字と大幅増益を成し遂げたのか。経営不振を招いた、主要顧客である日産などの生産台数の見通しをそのまま信じる「悪習の払拭」や、社内の意思決定の変革といった経営改善のポイントを古川社長に語ってもらった。







