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ホンダの商品力の低下が顕著となっている。2019年から25年までの6年間で四輪販売台数は30%超減少し、同社関係者も「売れる車がない」と嘆く。商品力を復活させるため、ホンダは四輪開発の組織体制を4月1日より抜本的に見直した。本社にあった開発組織を子会社の本田技術研究所に移管したのだ。かつて、研究所内にあった四輪開発機能をホンダ本体に移した経緯があり、今回の再移管は「出戻り」といえる。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『ホンダ危機』の#5では、商品開発力が低下した要因を解明するとともに、四輪開発機能を再移管する理由、そして新体制において懸念される点を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
国内の四輪販売台数は、スズキに抜かれ3位転落
ホンダに開発機能の“出戻り”を決断させた焦燥とは?
ホンダが、EV(電気自動車)に関して2.5兆円規模の損失を計上し、2026年3月期は、1957年の上場以来初の最終赤字に転落する。
ホンダは、この巨額損失について、資産の減損やサプライヤーへの補償費用など「一過性」の支出であり、26年3月期と27年3月期を底に、V字回復する見通しを示している。
だが、ホンダの再建には、避けて通れない大きな問題がある。商品力の低下だ。
ホンダ社員が「売れる車がない」と認めているように、販売台数の減少が顕著となっている。四輪世界販売台数は19年に518万台だったが、25年は352万台で、6年間で32%も減少した。
4月1日に発表された25年度の国内新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)はスズキに抜かれ、3位に転落した。
問題は販売台数の減少ばかりではない。国内販売に占める軽自動車の比率は、10~11年は1~2割だったが、23~25年には4~5割にまで拡大した。商品ラインアップの中で売れる車が、利幅の薄い軽自動車や小型車に偏ってきているのだ。あるホンダの販売会社首脳は、「(高価格帯商品や利幅が取れる)きちんとした商品を定期的に出さなければならない。そうでないとお客が他社に流れてしまう」と苦言を呈する。
もちろん、ホンダも手をこまねいているわけではない。
4月1日から四輪商品開発の組織体制をてこ入れした。次ページで詳述するが、本社にあった四輪開発機能を、子会社で研究開発を担う本田技術研究所(以下、研究所)に移管した。20年度に、それまで研究所にあった開発機能を本体に移管した経緯があるため、今回の体制見直しは“出戻り”といえる。
開発機能の異例の再移管の背景には、商品力低下に対する強い危機感があった。
では、20~25年度の旧開発体制では、何がネックになっていたのか。そして、なぜ今、開発組織の改編に再び着手したのか。次ページでは、複数のホンダ幹部や研究所関係者への取材を基に、開発体制の出戻りを決断した理由と、新体制において懸念される点を明らかにする。








