「継ぎはぎ感」は否めない
次世代Suicaまでの応急措置か
ここで気になるデータがある。金融・決済のプラットフォーム開発、コンサルティングを行う株式会社インフキュリオンが今年7月8日に公表した「決済動向2026年調査」によれば「コード決済の利用率が2019年に調査対象に含めて以来初めて減少に転じた一方、クレジットカードの利用方法ではタッチ決済が最多となるなど、キャッシュレス利用の浸透が新たな局面に入った」という。
クレジットカードの利用率が81%(うち39%がタッチ決済)に対し、コード決済は71%であり、存在感が低下しているわけではない。「初めて減少」といっても72%から71%と誤差の範疇とも言えるが、コード決済が成長期から安定期に入ったのは間違いなさそうだ。
Suicaはようやくコード決済に追いついたが、タッチ決済の波にどう向き合うのか。タッチ決済とSuicaは、ともにICチップで通信する仕組み(通信規格は異なる)であり、通信上の競合が発生するため、JR東日本は駅構内の店舗にタッチ決済を採用していない。teppayを単に2万円の壁を越えるためだけのSuicaの拡張機能と位置付けると、手軽さを重視してきたSuicaユーザーとミスマッチが生じかねない。
ただし、JR東日本はteppayを「完成形」とは考えていない。10月6日のプレスリリースに、「2028 年度に登場する『Suicaアプリ(仮称)』の世界観の一部を一足先にご体験いただく」という、興味深い一文がある。これを素直に読み解けば「次世代Suicaはteppayではなく、同等以上の機能が搭載される」ということだ。
詳細は省くが、次世代Suicaは全ての情報をサーバー上で管理する方式へ転換する。そうなるとICカードの残高とコード決済の残高を区別する必要がなくなり、両者は本当の意味で融合する。しかし、現行Suicaをすぐに置き換えられるものではないため、今の仕組みでSuicaにコード決済を組み合わせたのがteppayということだ。
正直なところSuicaとteppayの関係は「継ぎはぎ感」が否めない。PASMOを巻き込んだことでSuicaとは異なるブランドを立てざるを得ず、乱立していたポイントプログラムをJREポイントに統合したばかりなのに、また新しいポイントができてしまった。アプリ上のボタンひとつで切り替えができること、teppay残高からSuica残高にチャージできること以上の連携も今のところは見られない。
次世代Suica導入までの「応急措置」であるならば仕方ないが、後述のように「分かりやすさ」を目指したteppayが、分かりにくさを抱えたままスタートする構図には、やや不安が残る。次世代Suicaもスタート時点では、誰でも気軽に始められるサービスとはならず、ある程度のリテラシーを持つ人から浸透していくことになるだろう。応急措置が長引けば、ユーザーが離反する可能性も否めない。







