PayPayや楽天ペイとどう差別化?
JR東日本が狙う「鉄道経済圏」
コード決済サービスの特徴の一つが、ポイント還元を通じて利用を促す仕組みだ。teppayもサービス開始記念キャンペーンとして、500円以上の利用で20%のteppayポイント還元、通学定期券の購入に利用すると2000ポイントの付与、ビューカードの入会・紐づけによるポイント山分けなどを予定している。
問題はその後だ。PayPayのウェブサイトを見てみると、「PayPay・PayPayクレジットで使える、PayPayポイント10%戻ってくるクーポンキャンペーン」、「街のお店で使えるPayPayクレジット限定クーポン」、「オンラインの支払いで使えるPayPayクレジット限定クーポン」など、計19のキャンペーンを実施中だ。PayPayを入り口にソフトバンクグループの経済圏につなげている。
JR東日本が目指すのも、鉄道・Suicaを中心とした独自の経済圏の確立だ。これまでの決済サービスユーザーは「おトク」に敏感かつ移り気な人が多く、新しいキャンペーンが魅力的ならサービスの乗り換えも辞さなかった。
しかし、teppayは鉄道利用というライフスタイルに組み込まれれば容易に去られることはない。そのため、「最大瞬間風速」のキャンペーン頼みではなく、固定ユーザーとの安定した関係を構築することになるだろう。
PayPayの通常のポイント還元は0.5~1.0%で、前月に30回以上、計10万円以上利用すると最大1.5%になる。楽天ペイは、提携店舗に限れば楽天ポイントカードとの併用で最大2.5%還元になるが、楽天ペイとしてのポイントは条件達成で最大1.5%だ。ややこしいことを考えなくても、ビューカードに紐づけさえすればJREポイントで1.5%還元となるteppayは安定的に好条件と言える(紐づけない場合はteppayポイントで0.5%)。
昨年11月のサービス概要発表時、JR東日本の中川晴美常務は「決済手段の多様化に伴って複雑化も増してきており、生活者がキャッシュレス化を本当にストレスなく快適にご利用いただけているのかという疑問が生じた」ことがteppayの出発点と述べている。
焦点は決済手段の統一にどの程度のニーズがあるかだ。例えば筆者は、ビューカードを紐づけたモバイルSuica、メインのANAアメックスカード、セブンイレブンなどでタッチ決済するとVポイントが還元される三井住友VISAカード、これら3つのキャッシュレス決済を使い分けて、効率よくポイントを貯めている。
ポイントの使用先も全て決まっているため、これを特に面倒とは感じないが、そんな筆者でもソフトバンクグループや楽天グループの複雑なキャンペーンを見ると尻込みしてしまうのもまた事実だ。「努力して得られる大きなおトク」より、「分かりやすい程々のおトク」を求める層は確実にいるだろう。ただ、その時に前述のSuicaとteppayの継ぎはぎの分かりにくさが懸念となる。
巨大な先行サービスに対して勝機があるとすれば、やはり鉄道との連携は欠かせない。これは単にteppay残高をSuicaにチャージできるという意味ではない。teppayは特定地域で金券として使用できる「地域限定バリュー」や、地域の特定店舗などで使用できる「地域限定クーポン」の発行機能を搭載しており、実際の移動を促すことができる。単なる決済手段ではなく、鉄道を中心とした消費に結びつけることができれば、従来のサービスにはない大きな可能性がある。
JR東日本プレスリリースより引用拡大画像表示
まずは好スタートを切れるか。利用者はどう評価するのか。壮大な構想に向かう第一歩は重要だ。







