折りたたみスマホ
普及を阻む「意外な技術」とは

 Appleの参入によって、折りたたみスマホ市場は新たな局面を迎えつつある。

 Duoは予約開始直後から注文が殺到し、発売日受け取り分の予約枠が埋まった。予約開始当日には出荷予定が翌年1月下旬まで延びるなど、36万円超という高価格にもかかわらず、滑り出しは好調だ。

 これまで一部の愛好家やビジネスユーザー向けという印象が強かった折りたたみスマホだが、Appleの参入を機により幅広い消費者の選択肢となるのだろうか。石川氏は「そう簡単ではない」と話す。

「市場の活性化を期待する一方、普及には価格の引き下げが欠かせません。それには長い時間がかかります。今回のDuoは、自動車でいえばレクサスやフェラーリのような存在。メーカーの技術力を示す製品ではありますが、実際に台数が売れるのは、もっと手頃な価格のモデルが発売されるようになってからでしょう」

 ただ、折りたたみスマホが普及するかどうかは、価格だけでは決まらないという。石川氏が鍵として挙げるのがAI(人工知能)の進化だ。

「AIが作業の手順を判断して実行する『AIエージェント』が今、社会に浸透してきています。呼びかけひとつでAIが作業できる世界が一般化すれば、アプリをいくつも開く必要がなくなります。そうなると、わざわざ大きな画面が必要なのかという話にもなります」

 Duoは大画面を生かして作業できることが強みだが、AIが人間に代わってさまざまな操作をこなすようになれば、その優位性は薄れるかもしれない。

 皮肉にも、長年の技術開発によって折りたたみスマホがようやく実用的になったところへ、AIという別の技術が進化し、その普及にブレーキをかける可能性も出てきたというわけだ。

 Appleの参入で注目を集める折りたたみスマホ。しかし、その真価が問われるのは、発売直後の熱狂が落ち着いてからだろう。

 AIによってスマホの使い方も変わる中、大画面の便利さは、重さや36万円超の価格に見合うのか。Duoが日々の仕事や生活でどれだけ手放せない道具になるかが、今後の広がりを左右しそうだ。

Apple初の折りたたみスマホ「iPhone Duo」AIが作業できる世界が一般化すれば、アプリをいくつも開く必要がなくなる? 画像提供:石川温