彼らはテクノロジーについてもビジネスについてもよくわかっており、必要とあればいくらでも頭を下げられるという、起業家にとって非常に大事な資質も備えています。

 ハイランダーズの採用条件は、「複数言語を操れること」「理系の修士号以上の学位を持っていること」、そして「段ボールの上で寝泊まりできること」。

 この採用方針からもうかがえるように、スタートアップに求められる「気合い」は十分な会社で、見ていると「本当に何でもやるな」と驚かされます。

「Highlanders社、国産AI四足歩行ロボでクマ被害を防ぐ『KUMAKARA MAMORU』プロジェクト始動」とニュースが出たかと思えば、成長戦略の17の戦略分野をすみずみまでチェックして官公庁営業にも果敢に挑んでいきます。

 海外調達にも展望が見え始めており、今後が非常に楽しみな会社です。

1着10億円の宇宙服に
日本の新興企業が挑む

 もう1つ、最近支援したAmateras Space(アマテラススペース)という会社があります。この会社は「人類の活動領域の拡大」をミッションに掲げ、宇宙服の開発に取り組むディープテック・スタートアップ(編集部注/AIやバイオなど、特定の自然科学分野の研究で得られた発見にもとづく技術〔ディープテック〕を商業化する起業のこと)です。

『「日経平均10万円」時代に備えろ』書影『「日経平均10万円」時代に備えろ』(藤野英人、日経ビジネス人文庫)

 宇宙服というのは過酷な温度や気圧の変化の中で人間が活動するための技術のかたまりで、言ってみればそれ自体が小さな宇宙船のようなもの。

 今、宇宙服は1着10億円程度するといわれますが、アマテラススペースは日本の技術を使って、その軽量化とコストダウンに挑戦しています。

 一見するとニッチな領域に見えるかもしれませんが、宇宙ビジネスへの注目が高まる中で、将来的な市場は決して小さくないでしょう。

 代表の蓮見大聖さんは、若くして「応援される才能」を持った、かなり希有なリーダーです。「次世代の宇宙服をつくる」という途方もない目標も、彼の人間的な魅力があれば、多くの専門家や行政を巻き込みながら乗り越えていけるのではないかと思っています。