収入以上の支出をする暮らしに無理がないわけがありません。今は何とか暮らせていても、それは将来へツケを先送りしていることに過ぎないのです。

 もしかすると、子どもが自分の家庭を持ち、仕事や子育てに奔走している人生で最も大事な時期に、生活費が足りない、介護費用を出してくれと無心するような親になってしまうかもしれません。

 子どもに借金を背負わせたくないと親が無理をして抱え込んだ借金は、形を変えて老いた親の生活保障という、奨学金よりはるかに重く、逃げ場のない負担となって子どもに跳ね返ってしまうことになりかねません。そこをきちんと見据え、考えていかねばなりません。

 奨学金は決して恥ではなく、親子で計画的に学業を支え、自立を促すための正当なツールです。

 今と将来のお金のバランスを見ながら、計画的に活用すべきものなのです。もし、どうしても子どもに借金を背負わせることが嫌だというのであれば、事前にしっかりと貯蓄を作る努力をすべきでしょう。さもなくば、奨学金を活用してその間に親の家計を立て直し、返済の一部を助けていくことも検討するとよいのです。

 見栄を捨てて現実の数字を直視し、教育費を聖域化しないこと。そして親が自分の老後を自力で支えられる基盤を残すことこそが、子どもに対する真の責任であり、親から子へ贈ることのできる「最大の贈り物」なのです。