中国共産党の威信を高めるため
街中に掲げる「群衆路線」の文字
「永遠に党についていく」
10月14日早朝、CBD(Central Beijing District)、国貿。北京に到着した私の両眼にこんなスローガンが飛び込んできた。市内の至るところには「中国夢」(チャイニーズドリーム)を掲げる看板が見て取れる。「中国夢」とは「中華民族の偉大なる復興」のこと。習近平総書記が就任以来重用している施政スローガンである。
街を歩いていると、「党」という文字を至るところで見かける。2003~2012年の胡錦濤―温家宝時代と比べても、共産党政権が「党」という概念を全面的に押し出し、「党の支配の下でこそ中国は安定し、繁栄する」という理念を人民たちに訴えている。そういう空気を北京で感じた。
党のプロパガンダや言論統制を担当する中央宣伝部を10年間務め、昨年11月からトップセブンである政治局常務委員入りした劉雲山氏が担当者として引っ張る「群衆路線教育実践活動」も、「党」の威信を高めるひとつの動きとして見て取れる。街の至るところに「群衆路線」と書かれたスローガンが掲げてあった。
この“活動”は2013年6月18日に正式に始動したもので、「幹群関係」(幹部と群衆の関係)を強化するために展開されていると言われる。国営新華社通信のオフィシャルページによれば、「活動は党の先進性と純潔性を掲げ、人民のための、清廉な、実情に立脚したプロセスでなければならない」とある。
「無駄を省き、幹部たちが公費で贅沢をしない」という一項も含まれる。実際、今回北京に滞在してみて強く感じたが、共産党関係者らが日常的に接待に使うような高級レストランは次々に規模を縮小するか、倒産に追い込まれていた。習近平氏が「行き過ぎた接待」を徹底的に取り締まっているからだ。
この政策は国内世論で大々的に宣伝されている。「私たち共産党員は人民が必死になって稼いだお金を無駄使いしていませんよ」ということをプロパガンダするためである。これも「群衆路線」活動の一貫であるようだ。