日本の電力自由化が再び動き出した。2005年まで段階的に進んだ“規制緩和”(電力市場の改革)は、07年以降しばらく動きが止まっていた。だが、11年春に起きた東日本大震災を経て、14年中に国会での審議が再開される今回の規制緩和は、既存の枠組みを壊す“電力システムの改革”に重きが置かれる。スケールアップした方向性の中で、新規参入事業者はどのように勝ち残るか。この分野の先駆者として知られるエナリスの創業社長・池田元英氏に話を聞いた。
――ようやく、2013年11月13日の臨時国会で「改正電気事業法」が成立しました。今回の改正によって、1995年から法改正が始まり、2000年より自由化の対象となる範囲が拡大してきた電力自由化は大きな転機を迎えます。10年以上前から奮闘を続けてきた池田社長は、どのように受け止めていますか。
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これで、やっと既存の一般電気事業者(地域別の民営電力会社)と、PPS(Power Producer & Supplier : 特定規模電気事業者)などの新規参入事業者が“同じ土俵”に立つことができます。まさに、ようやく、という感じです。
端的にいえば、これまでは「電力市場にちょっとだけ新規参入事業者が入れてもらえた」というに過ぎませんでしたが、これからは「電力会社も新規参入事業者も同じルールで縛られる」ことになります。電力を必要とする需要家に対して、“どのような利便性を提供できるのか”という競争になります。
――今回の改正では、まず15年をめどに地域の電力会社ごとに分断されていた送・配電網を全国で一体的に運用する「広域系統運用機関」が設立されます。次に、同じく16年には電力小売り事業の「一般家庭まで含めた全面自由化」がスタートします。さらに18〜20年には、電力会社が持つ送・配電網を切り離す「発電・送電・配電の分離」など、計3段階で実施されることになりました。
競争は、全国レベルで行われるようになります。
大前提として、少し大きな話をします。過去に、エネルギー問題というものは、日本の国策では大きな位置を占めるものであり、いわゆる核燃料サイクルまでを含めた原子力発電や、発電するための原料となる石油や天然ガスなどを日本まで輸入して管理する業務などは、民間企業だけで扱えるレベルの話ではなく、国全体として考える必要がありました。