1月末に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の第5代チェアマンに就任した村井満氏は、Jリーグ加盟クラブの社長経験がない外部出身者。リクルートでの経営者としての実績を買われ、史上最年少の若さでの就任だったが、早々に大きな問題に直面した。


むらい・みつる/1959年生まれ。83年早稲田大学法学部卒業後、日本リクルートセンター入社(現リクルートホールディングス)入社、2000年執行役 員、04年リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)社長、08年日本プロサッカーリーグ理事(非常勤)、11年RGF Hong Kong Limited社長、14年1月日本プロサッカーリーグチェアマン就任。埼玉県立浦和高校ではサッカー部でゴールキーパーを務めた。
Photo by Masato Kato

――浦和レッズのサポーターが3月8日のサガン鳥栖との試合で、「JAPANESE ONLY」という差別的表現と受け取れる横断幕を掲げた問題で、無観客試合という厳しい制裁を科しましたが、そこに至るプロセスについてあらためてうかがいたい。

 時系列でいうと、試合の翌日、出張先の沖縄でJリーグのスタッフから電話で第一報を受けました。メールに添付された写真も見たのですが、意図がはっきりわからなかった。

 ただ、レッズ側はどう言っているのか、どれくらいの時間掲示されていたのかなど、事実関係をいろいろ確認していくと、これは掲示した側の意図はどうであれ、差別的行為だなと私は考えました。

 10日の朝一番で浦和の淵田敬三社長にJリーグ本部に来てもらって事実報告を受けました。その時点ではレッズが開示していた情報を口頭で説明された程度だったので、大至急、詳しい事実確認をしてほしいとお願いしました。時間がかかりそうだという話だったのですが、14日までという期限を付けました。同時に電話でも逐一、報告を上げてくれるよう求めました。

 12日の夜には事実関係をまとめた文書を受け取り、13日朝には最終報告書という形で提出してもらいました。チェアマンがクラブに対して制裁を科すときには、裁定委員会に諮問するのですが、12日の夕方には裁定委員長に私から電話をして、無観客試合という制裁措置に関して内諾を得ていました。

 ですから、最終報告書を受け取った13日の午前11時にその場で淵田社長に制裁内容を伝え、午後1時からの記者会見で発表しました。