なぜ、証拠改竄事件は起こったのか?
「郵便不正事件 厚生労働省・村木元局長に無罪判決」
このニュースとほぼ同時に、大阪地検特捜部の主任検事が証拠品であったフロッピーディスクの内容を改竄した容疑で逮捕、というニュースが流れました。その後、上司である特捜部副部長と特捜部長が逮捕されて取り調べ中というのは皆さんもご承知の通りです。
この証拠改竄事件の大まかな概要は、証拠品として押収したフロッピーディスクに保存されていた書類の作成日時が、検察捜査のシナリオ(村木元局長の指示のもとに部下が書類を作成)と合わない為、主任検事が意図的に作成日時を書き換えてしまった、さらに、その報告を受けた上司(特捜部副部長および特捜部長)が不正を気づいていながら適切な対応をしなかったのではないか、というものです。
村木元局長の身になって考えてみると、実に恐ろしい話です。
自分自身は何の罪も犯していないのに、検察で自分自身を有罪に追い込むストーリーが出来上がっており、そのストーリーに沿った供述調書が作成され、ストーリーに沿った証拠が捏造されている、といったことが行なわれているとしたら…。
そもそも検察とは、罪を犯してしまった人が「どうして罪を犯したのか」「どうやって罪を実行したのか」を明らかにした上で適正な償いを受けてもらうために、国民からは“正義の番人”としての役割を期待されている組織です。恐らく容疑者として逮捕されている3名も、もともとはそういった高い志を抱いて検察官になったのではないでしょうか。
だとすると、なぜこのような事態に至ってしまったのでしょうか。
どうしても私たちは、事件を起こした人、すなわち“個人”の方に注目してしまいます。また私たちは結果として、最終的には“個人”の責任として事態が収拾されるケースを数多く見てきましたが、どちらかといえば“組織”に着目すべき問題なのではないでしょうか。