足もと弱含みの経済指標も散見され、景気見通しには不透明感が漂う。8月13日発表予定の日本の4~6月期実質GDP成長率は瞬間風速で大幅マイナスになりそうだ。しかし、消費税率引き上げの影響は事前の予測通り一時的なものにとどまりそうだ。7~9月期はプラス成長へ、成長率のマイナスからプラスへの「逆転」が生じる見込みだ。「ルーズヴェルト・ゲーム」の視聴率、「軍師官兵衛」の視聴率、巨人のペナントレース前半戦首位折り返し、エルニーニョ現象発生時期の夏から秋への後ズレなど、身近な社会現象も、景気の落ち込みから持ち直しへの「逆転」を示唆している。
4~6月期の実質GDP
大幅減少は想定どおり
4月1日の消費税率引き上げから3ヵ月半が経過した。6月調査の日銀短観では消費税率引き上げにもかかわらず、大企業だけでなく中小企業の業況判断DIも製造業・非製造業ともに「良い」が「悪い」を上回るプラスを維持し、しっかりした景況感が続いていることを示した。
しかし、足もと弱含みの経済指標も散見され景気見通しには不透明感が漂う。
例えば、4~6月期の実質GDP成長率の瞬間風速(前期比年率、その四半期の前期比が4四半期同じ前期比だった時、1年分でどれだけ伸びたるかを示した伸び率)は、家計の負担増と駆け込み需要の反動減で、大幅減少になると予測される。
GDPベースの実質個人消費とほぼ同じに動く消費総合指数は、4月分、5月分で各々前月比▲8.1%、+1.3%となった。4・5月分平均の対1~3月期分平均比は▲4.9%と大幅減少だ。仮にかなり楽観的に見て6月分が前月比で+5.0%伸びると仮定しても、4~6月期の前期比は▲3%程度となる。これだけで4~6月期の実質GDPを前期年率約▲7%程度押し下げることになる。
成長率の計算で行われる
季節調整値を読む時の注意
さらに、成長率を読む場合、季節調整(注)に留意する必要がある。GDP統計では最新のデータが出るたびに過去に遡って季節調整がかけ直されている。直近の季節調整では08年秋のリーマンショックの影響で、10~12月期の前期比が嵩上げされていた効果が時の経過とともに薄れてきた。リーマンショックは一時的でなくそれなりの長期間の成長率の下振れ要因となったため、特殊要因として除去できなかった。
(注)経済データの時系列変動は趨勢的変動、循環的変動、季節的変動、不規則変動の4つの変動からできているとして季節的変動要素を除くことを季節調整と言う。自然条件や正月、夏休みなどの社会的慣習・制度などによって生じるものが季節的変動だ。