プレイヤーとして発揮できる価値には
どうしたって限界がある

 私もそうだったが、多くのビジネスパーソンはそもそもプレイヤーだ。当然ながら、プレイヤーにとっては、プレイをすることが何よりも大切である。自分の腕を磨いて、自分の力で価値を出していくことを目指すのが本分だ。

 一人前になるためには、そうやって自分を磨いていくのがいいだろう。まずは皆、そこからスタートすることになる。しかし、どこかの段階で、自分一人で出している価値の限界に気がつかないと、本当の意味で組織の中で役立つ人間にはなれない。

 プレイヤーとして、1分野のプロフェッショナルになることを否定はしない。無駄だと言う気ももちろんないが、たとえプレイヤーとしての価値を出すにしても、より大きな価値を出すためには人を巻き込む必要がある。いくら優秀なプレイヤーであっても、一人でできることには限界があるからだ。

 しかも、皆が一人でよければ、組織の存在意義も薄れてしまう。

 ところが、私もそうだったが、若いプレイヤーにはマネジメントいうものの意味がよくわからない。課長や部長といったマネジャーの存在価値についても、多くは疑念の目で見てしまう。

 私自身も若い頃は、マネジャーを「あの人は自分で汗水流して作業をするのが嫌だから、人にやらせているのだ」とか、「あの人は自分で営業に行くのがいやなので、人に行かせているのだ」とかというように、マネジャーをすることでプレイヤーを放棄している人のように見ていた。

 しかし、そうした所見は、多分にマネジメントという機能やマネジャーという役割の問題ではなく、それぞれの個人に紐づく課題なのだろうと思う。

 本質的には、組織には当然マネジメント機能が必要で、マネジャーは組織に対して大きな価値を提供することができる存在なのだ。

 今、すでにマネジャーであるあなたも、そのことをまず改めて胆に銘じてほしい。