中国青島に出張してきた。帰りに、上海に立ち寄った。両親や妹に顔を出さないといけないということもあるが、上海の最新のビジネス情報に触れたいという気持ちが強かった。顧問先の企業が店舗による対面販売にこだわっているが、私は逆にネットビジネスという手が考えられないのかと提案していきたいと考えていたからでもある。

 上海の友達に意見を求めてみたら、店舗による対面販売の発想は時代遅れだと一蹴された。「だって、日本人管理職の人件費、滞在費、店舗の賃貸料、現地従業員の人件費などを考えると、コストがあまりにも高すぎる。今や電商(電子商取引)の時代だ。上海は自由貿易試験区という新しい選択肢もできた。こうしたビジネスツールと流れを掴まないと、商売はうまく行かないよ」と言われた。

市民の人気を集める自由貿易試験区

 このように議論しているうちに、自然に話題が上海自由貿易区に移っていく。自由貿易試験区輸入商品直売センターもこうして話題のタネになった。保税展示取引プラットフォームを通じて中国市場に入った多くの輸入商品が、超格安の価格で入手できるということで、市民の人気を集めているという。

 たとえば、生鮮エリアでは、南極産またはアメリカ産タラ、モザンビーク産ロブスター(ゼブラクレイフィッシュ)、キューバ産ロブスター、チリ産タラバガニ、ノルウェー産サーモン、ベトナム産エビをはじめ、さまざまな魚、エビ、カニが見られる。

 値段も非常に魅力的だ。インド洋の深海で獲れたモザンビーク産ロブスターは解凍後、薄いピンク色の身に虹色がかったパールカラーを帯びるため、中国名は彩虹蝦という名がついた。普通のエビと比べると味が濃厚で鮮度もいいから、生食でも、さっとゆでても、炙り焼きでもいいと紹介されているが、2キロで100元ちょっとだから、市民の人気が集中している。

 モザンビーク産ロブスターの場合は、有名なネットスーパーでの価格は800グラムで118元であった。自由貿易試験区内での価格は2000グラムで138元と、半値ほどの安さである。

 大人の腕ほどの大きさのカナダ産ロブスターが箱売りされていた。1箱の値段が687.5元で、1箱に8~9匹入っているので、1匹あたりの値段は90元以下である。ベトナム産エビのむき身は午前中で売り切れたよ、とスタッフが言う。400グラムで48元と安い。