外国人の採用など、多くの企業が人事のグローバル化を迫られている。従来型の制度設計では齟齬を生じる場面も多いだろう。では、どのように考え、何を変えればいいのだろうか。筆者はGE、グーグルで採用と育成に携わった。その経験をベースに、一般的な外資系企業ではどんな人材マネジメント(標準的な型)が行われており、その人材マネジメントはどのような前提やフレームワークをベースに行われているのかを考察する。
日系と外資では
人事のOSが違う
「1万人」。この数字は日本の外資系企業 人事部で働いていると予想される人数です。この数字は、国内の外資系企業で働いていると予想される総従業員数100万人を100(従業員100人に対して1人の人事担当者が求められると仮定する)で割ることで求めました。
1万人は比較的大きい数に見えますが、日本の総労働人口は約6545万人ですので、総労働人口の「0.015%」しか外資系企業の人事部で働いていないことになります。ちなみに、この1万人という数字は、北海道の夕張市の人口とほぼ同じ数です。夕張市民以外は外資系の人事部員ではないと考えると1万人という数字はとても小さいことに気づきます。
その意味で私は、かなり特異なキャリアを歩んできたことになります。米国コーネル大学大学院で人材マネジメントと組織行動学の理論を学んだ後、GE、グーグル、QVCと米系のグローバル企業3社の人事部で実務経験を積んできました(このブログでは外資系企業=欧米のグローバル企業とさせてください)。外資系企業がどういうロジックで運営されているのかを外部(理論)からだけでなく内部(実務)からも観察してきました。
また、ここ数年間、さまざまな機会を通じて、日本企業の人事部の人達との交流が増えています。
これらの経験から私が強く感じるのは、日系企業の人材マネジメントと外資系企業の人材マネジメントは、異なる前提やフレームワークをベースに運営されているのではないかという仮説です。
コンピュータで例えれば、OSが違う感覚です。そのOS上に互換性のないソフトウェアを走らせようとしてもなかなか動いてくれません。