経営 X 人事

はじめての人事
まず無料のセミナーやイベントに
参加されることをお薦めします

 HRA(当時の正式名称は東京海上ヒューマン・リソーシズ・アカデミー)は人事部から研修部門を分離し別会社化した会社で、私が入院している間の1995年5月に発足していました。

 会社に関する大まかな説明を受け、人事部門の所属になった上で出向することになると聞かされ、自分が図らずも「人事な人」になることに驚きました。

 「なぜ私が?」と部長に質問したところ、「君の論文が面白かったから。そしてHRAの情報化、社内教育の情報化を進めるメンバーが欲しかったから」というものでした。実は、この部長はHRAの創設に関わり初代の社長になった人で、かつ件の懸賞論文の責任者だったのです。

人材育成に関する書籍には
具体的にどうすればよいかが
書かれていなかった

 赴任当初は、HRAのシステム管理者として講師や事務部門へのパソコン導入やネットワーク構築、社員の研修受講履歴データベースの構築といったことをおこなっていました。その後、PowerPointを使ったプレゼンテーションの研修開発を行ったことをきっかけに、さまざまな研修の企画・開発・講師も務めるようになりました。またeラーニングの導入や展開にも携わりました。

 システム系の業務については書籍やセミナー類も多く、勉強するのにそれほど困らなかったのですが、研修やeラーニングについてはかなり戸惑いました。例えば、研修については、話し方など講師スキルに関するノウハウ本は多くあったものの、研修の企画やデザインのしかた、あるいは企業内の教育や人材育成そのものについてジャストミートする書籍などはなく、何をどう勉強してよいか分かりませんでした。また、人材育成に関する書籍の多くは経営学の文脈で書かれており、多くの本は「こうすべきだ」「こういう人材を育てるべきだ」といったことは論ぜられているのですが、具体的にどうすればよいかは語られていませんでした。

 そこで放送大学で教育学や心理学、認知科学などについての科目を学んだり、教育サービス事業者などが開催する無料のセミナーやイベントに通ったりしながら、勉強をし続けました。そうこうするうちに、セミナーなどで出会った他社の人事な人達と親交が深まりました。

 その経験から、図らずも人事な人になり「何をどう学べば良いのか」さえ分からない際には、まず無料のセミナーやイベントに参加されることをお薦めします。

 その理由は、無料のものは万人向けの話が多く、あまり専門的な話にはならないため人事初心者にも分かりやすいものが多いからです。また無料のセミナーでは自社の商品・サービスのPRがされることが多いですが、殆どの場合、多くの人事部門が抱える問題が提起されるため、人事を巡る問題についても知ることができるからです。もちろん「無料」というのも魅力です。人事部門は意外と予算、特に自部門員の教育や学習のためのそれを持っていないことが多く、セミナー参加費の稟議を通すのも結構面倒だったりしますので。

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北村士朗

1961年生まれ。(株)東京海上日動HRAにて企業内教育の企画・開発・実施に従事した後、2005年8月より熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻准教授。研究分野はインストラクショナル・デザイン、eラーニング、企業内教育、授業法、教育ビジネス等。主な著書に「企業内人材育成入門」(共著)

 


図らずも「人事な人」になったあなたのために

一般のビジネスパーソンにとって、人事部門はなにやらコワい、なにをしているかよくわからない部署に見えるかもしれない。しかし、人事への異動はある日突然やって来る(かもしれない)。図らずも人事部門に異動することになった読者のために、同じ経験を持つ筆者が「人事部門での仕事」について解説し、そのやりがいと醍醐味を語る。

「図らずも「人事な人」になったあなたのために」

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