この問題は今回が初めてではありません。依然として、日中関係を発展させるために、どのような処理をするのかが問われているということです。尖閣諸島と靖国神社参拝問題の二つは、日中関係発展のための最大の障害です。双方が納得できる解決策を見つけなければなりません。

 また、日中双方にある排他的ナショナリズムも問題です。日本は中国ほどではないと言われていましたが、最近はヘイトスピーチなどで目立つようになりました。排他的ナショナリズムは両国共通の敵だと、日中関係の研究者の間でも認識されています。

――関係改善のためにも、11月に中国で開催されるAPECの機会を利用して、首脳会談を開くべきだということが盛んに言われています。しかし、二つの問題について、日中は平行線を辿っていて、歩み寄りは見られません。いったい、どのようにして日中は関係改善へ向かえばいいのでしょうか。何か方法はあるのでしょうか。

 歩み寄りが見られないからこそ、日本側は両国関係の発展のために話し合いましょうとずっと言っているわけですが、中国側はヘソを曲げて大臣の会談にも応じないという状況が続いていました。それがここ数ヵ月、大臣の会合に応じるようになり、福田康夫元首相も習近平国家主席に会えました。

 中国側の態度は問題があると言わざるを得ません。中国は尖閣諸島の問題について、日本が領土問題が存在することを認めることを求めています。しかし、「島の問題と靖国の問題が解決しなければ会いません」という態度は、本来は取るべきではない。いかがなものかと思います。

 中国は2012年9月に起こった暴力的なデモで被害に遭った多くの日本企業に対する補償について、何一つ対応していない。そういう状況もあって、今年になって日本企業の対中直接投資は減ってきている。政治や安全保障の問題が、経済にまで悪影響を与えています。非常に嘆かわしい状態です。

 今は本当に異常な状態です。よく言っているのですが、日中関係は「闘争モード」になってしまっています。つまり、喧嘩状態だということです。それを、本来の「協力モード」にできるだけ早くに戻さなくてはならない。首脳会談が行われれば、このモードを変えるきっかけになると思います。

 中国も首脳会談をやりたいと思っているようですが、今はまだ何も決まっていないと思います。

内政と外交を連動させることは
毛沢東時代から続く伝統的手法

――日中が首脳会談をして、ムードを変えるには、領土問題や靖国問題で日中のどちらかが“折れる”しかないのでしょうか。

 いやいや、領土問題について日本側が折れることなんてあり得ない。領土問題は存在しないという日本側の主張を変える必要はありません。中国側は日本が折れることを期待しない方がいい。

 靖国問題は「靖国神社に参拝に行く」という解釈の問題です。中国側は参拝することは歴史を否定するもので、歴史修正主義だと言っている。

 私としては、必ずしも首相が靖国神社に参拝することには賛成しません。理由は世界的に誤解を生みますし、周辺諸国にはなかなか理解されないからです。