中国の方々も理解でき、日本の政治家の参拝する目的も果たせる、何らかの方法を日本が考える可能性はあるのではないかと思います。ただ、参拝するかどうかは、ひとえに安倍首相の胸の内の問題なので、今の段階では日本と中国の間でちゃんとした関係改善の道筋がつけられるまでは、態度は表明されないでしょう。

――中国がこの2年間、日本に対して強硬な外交姿勢を取り続けているのは、国内問題があるからだという分析があります。経済成長率の鈍化や格差の拡大からくる中国人民の政権批判をかわしたい、習近平政権発足初期段階において中国人民の支持を得て、権力基盤を盤石にしたいという事情があり、それを実現するために反日を利用しているというものです。

 そういった背景は確かにあるでしょう。内政と外交が完全に連動しています。これは中国共産党の伝統的なやり方でもあります。党内をまとめ、国内をまとめるために闘争の相手をつくる。毛沢東の時代から続く方法です。ただ、内政だけが外交姿勢を決める要素ではありません。

対日姿勢の三つの要因
2年間で中国は何を得たか

――習近平国家主席は就任以来、「反腐敗闘争」を続けていて、7月末には政治局常務委員まで務めた周永康氏が取り調べを受けることが発表されました。こうした状況から、習近平政権の権力基盤は盤石になり、党内の対日強硬派も抑えられるという分析もあります。

 私は中国の対日姿勢には三つの要因があると考えています。一つは内政要因です。権力基盤が固ければ固いほど、中国は友好的な対日政策を取りやすいと言われています。

 私は習政権の権力基盤は、2年前と比べて固まってきたと見ています。ゆえに、2年前と比べて、外交における選択肢は広がっているでしょう。もう少し時間が必要かもしれませんが、徐々に対日友好策をとりやすい状況になりつつあります。

 二つめは経済要因。中国の景気は減速しています。GDPの成長率は年々下がっていますし、不動産価格も下がってきています。中国人民の心配が募っているという状況です。中国政府は「ニューノーマル」と言って安心させようとしていますが、日本企業の対中投資も落ち込むという状況になってしまいました。なんとかしなきゃという意識が高まっていると思われます。

 経済が停滞してきたことは「闘争モード」から「協力モード」に変えるという意味ではプラスです。近隣の国と良い関係を保っておいた方が、経済の意味ではいいわけですから。なかでも、特に日本と関係が良い方が経済にとっては良い。だから日本との関係を改善するという発想が出てきます。