マインドマップは究極の脳トレ・ツール

 トニー・ブザンは1991年に世界記憶力選手権を共同創設した。以来、毎年「記憶のオリンピック」が開催され、脳力を競うアスリートたちが記録を更新し続けている。選手たちの大半は、「覚えたいことをイメージに置き換えて、他の何かを関連づける」という古代ギリシャ・ローマ時代からの記憶法をアレンジして使っている。

 スマートフォンの普及も一因で、「記憶すること」が軽視されつつあるようだが、これはもったいないことだ。脳の機能を総動員して記憶することは優れた脳トレにもなるからである。

 トニー・ブザンは記憶を趣味として楽しむことを奨めているが、それ以外にも脳力を鍛える方法はある。その一つは、記憶の要素が組み込まれたマインドマップを日常的に使うことである。ノートや日記をマインドマップで描き、例えば絵に苦手意識があれば、あえてイメージを多用してみる。

「才能は生まれつきのものではなく、育てるもの」というトニー・ブザンは、実は24歳になるまで立方体を描くことすらできなかった。それが、ある画家との出会いで絵の苦手意識がなくなり、世界が一変したという。絵を描くこと、視覚を鍛えることで観察力、分析力、記憶力も向上するし、何より楽しい。マインドマップを毎日使っていれば、このような効果に期待できる。

 ごく普通にノートとしてマインドマップをかくだけで、「ホールブレイン効果(脳全体を使う効果)」を得られる。このことが、マインドマップが「脳の万能ナイフ」と呼ばれる由縁でもあり、創造性の発揮、計画、発散と収束、会議、目標設定、自己管理、記録(議事録や講義録)、意思決定をはじめ、使い道は無限に広がりつつある。考案者をして、「まだ、マインドマップについて知らないことが多い」と言わしめるほどだ。