業務時間の大半を会議に費やしているという管理職社員は多い。一見、合理的でかつ民主主義的と考えられてきた「会議」は、企業において意思決定を下す方法として最も多く用いられている手法である。しかし、社内のあちこちで日々行われている会議のどれほどが生産的に遂行されているのか、あるいは本当に必要なものといえるのだろうか。
不満はあるが、
進んでいない会議改革
将来の働き方(Future of Work)を検討するにあたって、社内における意思決定プロセスの変革は重要な要素の1つである。そうした中、現時点において企業の意思決定の手法として主流となっている「会議」に対して、改善・改革の必要性を感じている従業員は少なくない。ユーモア作家のデイヴ・バリー氏は、「過去にも未来にも、人類が最大限の力を発揮できない要因を一言で表すとすれば、それは『会議』だろう」と述べている。会議に対して多く聞かれる声としては以下のような不満があげられる。
・とにかく会議が多く、自分の仕事の時間を圧迫している。
・報告や通達だけで、議論がなされない会議が多い。
・目的やアジェンダが不明確なまま招集される。
・結論が出されないまま会議が進行され、次回に持ち越しとなる。
・社内政治によって結論は決まっているのに形式的に会議が行われる。
・発言しない人が多いが、関係者は全員招集される。
ビジネス環境の変化が著しく、取り扱う課題が複雑化している現代にあって、迅速かつ的確な意思決定は、企業の競争力を左右する重要なプロセスといえる。一方、ITの進展によって、組織における情報の伝達や合意形成のための手段として多様な選択肢が利用可能となってきている。
今こそ、意思決定や合意形成の方法として、会議があらゆる場面において本当に合理的といえるのか、会議以外に有効な方法はないのかを再考することが求められるのではないだろうか。
ITRの調査によると、「会議改革」はワークスタイル変革に関する戦略課題の企業における重要度という点では、「非常に重要」「やや重要」と回答した企業が約7割にのぼり、他の戦略課題と比べても中程度と認識されている。一方で、取り組み状況という点では最も実施率が低く、「実現できている」「少し実現できている」と回答した企業は3割に留まっている(図1)。