米国中間選挙の開票は、まるでオセロゲームの勝負のようだった。民主党優位のはずの「青い」州があっという間に共和党の色「赤」にひっくり返り、米国の政治地図が赤色に塗り替えられたのである。投票結果は共和党が圧勝し、上院も下院も過半数を制覇した。有権者から「ノー」をつきつけられたオバマ政権の今後はどうなるのか。現地メディアが伝え切れない今回の戦いの争点、そして米国の政治の行方を、独自の視点からリポートする。(取材・文・撮影/ジャーナリスト・長野美穂)
民主党はゲティスバーグ以来の惨敗?
国民がオバマに突き付けた重い審判
共和党圧勝から一夜明けると、カンザス州の保守派向けラジオトークショーのホスト、ジョセフ・アシュビーは放送でこう絶叫した。
「我々共和党員がこんなに狂喜乱舞してるのは、ロナルド・レーガンが49州で圧勝した1984年以来だ! そして、民主党がここまで惨めに負けたのは、ゲティスバーグの戦い以来だ!」
4年ごとに行われる大統領選の中間の年に、全米で一斉に新しい上下院議員や州知事が選ばれる米国中間選挙。米国連邦議会では、任期6年の上院の3分の1、任期2年の下院の全議席が改選される(詳しくは下の図表を参照)。その投開票が、さる11月4日に行なわれた。
そもそも、今回の中間選挙の最大の争点は、議会の上院で過半数の議席を取れていなかった共和党が、過半数を占めるために必要な6議席を獲得できるかどうか、だった。2010年の中間選挙において、共和党が下院で過半数を獲得した結果、議会で上下両院の多数派が異なる「ねじれ現象」が続き、多くの法案や政策が停滞して、米国民は不満を募らせた。
今回、共和党が上院でも過半数を制すれば、「ねじれ」は解消する。しかし、「大統領と政権への中間評価」という意味合いを持つ中間選挙で敗北することになれば、オバマ政権と民主党にとって大きなダメージとなる。まさしく米国政治の今後を左右しかねないイベントなのだ。そんな「分水嶺の戦い」で国民がオバマに突き付けた選択は「ノー」だった。共和党が圧勝し、上院も下院も過半数を制覇したのだ。