延長距離世界一は中国。
日本は2位に

 しかし、本書を読むと「世界中で、こんなに高速鉄道が増えていたのか!」と驚くでしょう。各国別の鉄道産業動向はもとより、豊富な地図、路線図、計画図、各種データによってビジュアルに把握できるのです。

 高速鉄道とは、営業最高速度を時速250km/h以上で運行している鉄道と定義されています。本書によると、このような高速鉄道の延長距離は日本で2388km(2013年12月時点、以下同)となっていますが、世界一ではありません。順番に並べるとこうなります。

1. 中国 9904km
2. 日本 2388 km
3. スペイン 2225 km
4. フランス 2005 km
5. ドイツ 1228 km
6. イタリア 944 km
7. トルコ 565 km
8. 韓国 412 km
9. 台湾 345 km
10. ベルギー 209 km
11. イギリス113 km
12. オランダ 85 km
(17ページの表より)

 最高速度は各国ともだいたい時速300km/hから320km/hくらいです。驚くのは、中国がいつのまにか世界最大(最長)の高速鉄道国となっていることです。世界の高速鉄道の48%が中国にあります。そしてスペインが日本を急速に追い上げています。日本列島は70%が山岳地帯であり、中国大陸や欧州大陸のように鉄道敷設が簡単ではありません。人口密集地帯も多く、財政状況を除いても建設に時間とコストがかかるわけです。

 それに、中国、韓国、欧州の在来線はもともと軌間が1435mmと広く、そのまま高速鉄道を走らせることができるので、日本のように新幹線を通す必要はなかったわけです。