マネジメント・エッセンシャル版
ダイヤモンド社刊 2100円(本体)

 「マネジメントの行う意思決定は全会一致によってなしうるものではない。対立する意見が衝突し、異なる見解が対話し、いくつかの判断のなかから選択が行われて初めてなしうる。したがって意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである」(『エッセンシャル版マネジメント』)

 20世紀最高の経営者GMのアルフレッド・スローンは、反対意見が出ない案については、検討不十分として結論を出させなかったという。

 意見の対立を促すには理由がある。一見もっともらしいが間違っている案や、不完全な案にだまされなくするためである。頭脳と感性を刺激し、すばらしい案を生み出すためである。

 常に代案を手にするためでもある。行なった意思決定が実行の段階で間違いであることや、不完全であることが明らかになったとき、途方に暮れたりしないためである。

 そもそも戦略にかかわる問題については、ある案だけが正しく、ほかの案は間違っているなどと考えてはならない。そのようなことは、ありえないとすべきである。もちろん自分が正しく、他人が間違っていると考えてもならない。なぜ意見が違うのかを常に考えなければならない。

 「明らかに間違った結論に達している者がいても、それは、なにか自分と違う現実を見、自分と違う問題に関心を持っているからに違いないと考えなければならない」(『マネジメント』)