オバマ米大統領は、6月23日に「ベン・バーナンキについては新しいニュースをつくろうとは思わない。非常に困難な環境下で彼がすばらしい仕事を行なってきたと私は思っているが」と語った。

 来年1月に4年の任期が終わるバーナンキ議長を大統領が再任するか否かにマスコミや市場の関心が集まってきている。それに対する答えが上記の発言である。

 昨年9月のリーマンショック以降、バーナンキ率いるFRBは、崩壊しかかった金融市場を支えるために、FRBのバランスシートをリスクにさらしながら、救済策を次々と発動してきた。

 その実績はワシントンでは全般的に評価されている。しかし、米議会には、連邦準備法13条(危機時の例外規定)を次々と発動して、納税者負担につながりかねない政策をバーナンキが大規模に展開してきたことを危険視する有力議員もいる。彼らの牽制にバーナンキはうまく対処する必要がある。

 危機を生む原因となった住宅・クレジットバブルはバーナンキに責任があったか否かも議長再任の論点になるだろう。最近の「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」はそこに噛み付いている。

 2003年12月9日のWSJの社説は、世界的なコモディティ価格の上昇やドルの下落はFRBの金融緩和継続に対する“黄信号”であり、GDPギャップにこだわり過ぎるバーナンキらFRB幹部は(経済の)“スピード狂”だと揶揄していた。