この連載の初回で、「戦略人事とは、最高のパフォーマンスを出すために、人と組織をどう使うかということを考えること」だと述べ、そのために行うべきことを9つ挙げました。
【戦略人事が具体的に行う9つのこと】
1.社長をつくる
2.会社のミッション・ビジョンを伝え、徹底する
3.戦略を、心を震わすストーリーに変える
4.さぼらせない仕組みを回す
5.組織のレイヤーを減らす
6.人を発掘し、育て、活かす
7.モチベーションを高める
8.勝つためのカルチャーをつくる
9.エンゲージメント、愛着心を育む
以降の回では、この9つの要素について解説していきます。
まず今回は、1.社長をつくる ことについてです。
企業の人事と言えば、マネジャーを育てることが役割のように考えられがちですが、私は、人事の役割は、「社長を育てること」――別の言い方をすれば、「リーダーを育てること」だと考えます。
マネジャーを育てることも社長を育てることも、大した違いはないだろうと言う人もいるでしょうが、実はこの2つは、大きく異なるものです。
マネジャーの役割は、決められたことを確実に実現していくこと。
一方、社長の役割は、混沌とするビジネス環境の中で、組織の進むべき方向性を見定め、その方向に組織を率いて進み、目標を達成することです。
したがって、マネジャーと社長では、求められる資質や育成方法も異なるのです。