「合わない人」にレッテルを貼って
コミュニケーションを避けていないか

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 社会で暮らしていれば、ウマの合う相手、ソリの合わない相手は必ずでてくる。会社組織でも同じだろう。相手の言っていることが、理解できない。何でそんなことを言うのかわからない。話し合おうとしてもかみ合わない、そのうち話し合うこと自体にも疲れてくる。

 だが、同じ部署、同じ職場である以上、嫌でもつきあわなくてはならない。非常にストレスだが、しょうがない。

 このようなことは、どの職場でも、誰にでも起こることだ。だがここ最近は、そういった「合わない人」が特に増えているようだ。

 その代表的なものが「世代間ギャップ」である。50代以上の管理職は、若手社員から「老害」と呼ばれる。かつては、大きな働きをしたのかもしれないが、いまでは、低賃金であえぐ若者を尻目に、悠々自適だ。かつて、コンサルの友人が女性リーダー社員の研修会に参加した時のこと、その女性たちは、この世代の男性を「粘土層」と呼んでいた。

 粘土層とは、自分たちよりも上のポジションにいる年嵩(としかさ)のオジサンたちで、使えないくせにベターッと粘土のように貼り付いている人たちを指す。粘土なので、風通しが悪く、組織のコミュニケーションが停滞する。粘土なので、重く、固まっていて、新しいことや挑戦的な取り組みに動こうとしない。粘土なので、上を見上げてもべったりとした鈍い灰色、希望の青空が上にに見えてこない。

 他にも、仕事、特にIT系の知識がないため、部下に頼らざるを得ないのにやたら威張る、飲みに行くしか趣味はないのか、と言いたくなるほど飲み会ばかりで翌日は二日酔い、仕事に口は出すが責任はとらない、などの行動がある。