当連載ではいつも「社会貢献が来てますよ~」「ブームですよ~」と言ってるわけだが、読者の中には「ホントに来てるのか?」と疑問を持っている人もいるかもしれない。現在、都内では社会貢献系のセミナーや勉強会や飲み会が連日開催されていて大盛況なのだが、参加してみないとその熱気は分からないし、ワンレン・ボディコンやガングロや名古屋嬢やギャル&ギャル男のように、ひと目でそれと分かるような人たちが街を闊歩しているわけでもない。

 社会貢献に熱心で、本気で世界のひとつでも変えてやろうか? と考えているような人たちを、筆者は最近、『ソーシャル・ファイター』と勝手に命名しているが、彼らはファッションやライフスタイルでは、まったく見分けが付かない。ファッションにまったく無頓着な若者もいれば、どこの店のホストだろう? と思うような若者もいる。ひと目で帰国子女だと分かる外資系キャリア女性もいるし、職業不詳なのだが金だけは持っていそうなオヤジもいる。外見や職業、収入や持ってるモノで区別できないのがソーシャル・ファイターなので、多くの流行現象のような分かりやすさがない。

 そして、彼らの多くは、日常生活の中で社会貢献を語らない。ボランティアしていることも、寄付していることもあまり語らない。社会貢献系のセミナーや飲み会では、あれほど熱く「世界をいかにして変えるか?」について議論を交わし、思いを語る彼らが、会社の同僚や学校の友達には多くを語らない。相手が自分と同じソーシャル・ファイターの一員であると確認できなければ、けっしてカミングアウトしようとしない。だから、あなたのオフィスの隣に座っている人が、ソーシャル・ファイターの一員なのかどうかは、日常会話からは判断できない。

 というわけで、現在進行中の社会貢献ブームは、非常に見えにくいものになっているのだ。そこで、今回は、第三者が行なった各種調査結果を元に、つまり客観的なデータを元に、社会貢献トレンドが実際のところどうなっているか、その最新トレンドをお伝えしたい。

マーケティング理論で考える
「社会貢献ブームは来ているのか?」

 まず、社会貢献は本当にブームなのか? これについては、前回の第6回でも参考にしたボストン・コンサルティング・グループ(以下、BCG)の調査結果を参考にしたい。今年、実施された寄付に関する同社調査では、寄付に関して4段階で質問しているが、

・現在、特定の団体やプログラムに寄付している: 約4%
・近いうちに寄付しようと思っている: 約6%
・良いところがあれば寄付したい: 約40%
・まったく興味がない: 約50%

となっている。

 この数字を見て、「なんだ、全然ブームになってないじゃないか!?」と思うかもしれない。しかし、少しでもマーケティングをかじったことのある人なら、違う印象を受けるのではないか? この数字こそ、社会貢献がブーム化していることを示しているからだ。

 多くの人は誤解しているのだが、「ブーム」とは世の中の人の大半が熱狂している状態を指すのではない。そうではなくて、あるモノやサービスなどが、急速に普及したり関心を持たれたりする時の「加速度」こそが、ブームの正体だ。だから、ブームの渦中にあるモノゴトの普及率は、意外と低かったりする。しかし、ある程度の普及率がなければ、ブーム化しないのも事実だ。その「ある程度」とは、どの程度のことなのか?