『週刊ダイヤモンド』2月28日号の巻頭特集は「Excelで数字力を鍛える!」。その中から、定年後に再就職したあるベテランビジネスマンの経験談をお送りしよう。

『週刊ダイヤモンド』2015年2月28日号の特集は「Excelで数字力を鍛える!」

「自分で売上データや顧客の分析をやりたいと思ったんですよ」

 昨年8月、大手電機メーカーの常務として定年まで勤め上げた佐藤光治さんは、LEDに関する知見とノウハウを買われて韓国の半導体メーカー、ジャパンソウル半導体の日本法人の幹部に転じた。

 従業員数が3000人を超える大企業と20数名のジャパンソウル日本法人では、仕事のやり方がまるで違っていた。前職では顧客別の売上データに基づいた分析はすべて部下が行い、上がってきたデータを元に判断を下すのが佐藤さんの仕事だった。そのため、「自分でエクセルをいじることはほとんどなかった」(佐藤さん)という。

 ところが、ジャパンソウルには売上高の合算ぐらいしかデータがない。しかも、忙しい部下たちにデータの分析も頼みづらい。そのため、1000社に上る顧客データも宝の持ち腐れだった。

 そこで、佐藤さんは一念発起し、昨年12月にExcelセミナーの門を叩いた。そこで学んだのが、四半期別の前年対比・構成比の表作りだった。「これを自社のデータに当てはめるとどうなるか」と考えた佐藤さんは早速、1000件のデータ分析に着手。顧客を重要度順に並び替えるなど有効な営業ツールを作成した。

 そして、次に佐藤さんが手がけたのが、1月から始まる予算づくりだった。本社から割り当てられる予算は前年比150%を優に超える。それをいかに営業マンごとに割り振るかに腐心していた佐藤さんは、Excelを駆使して予算表を完成させたという。