「組織開発」と聞いて、何を行うのか、パッと答えられる人はどのくらいいるだろうか。日本オラクルの赤津恵美子氏は今、グローバル組織で、組織開発、人材開発を担っている。

そこで、その具体的な中身――外資系日本法人の人事パーソンの仕事の仕方――から、グローバルに組織開発を行う具体的な方法、標準化・効率化の方法を紹介したい。(構成:木村美幸)

何をするのが
グローバル組織開発か

 この連載では、当社が「グローバル組織開発」として行っていることをご紹介します。グローバル規模で組織の活性化や人材開発を考えておられる方に、少しでも参考になれば幸いです。

 私は、組織開発とは、全体最適を実現することが第一義だと思っています。つまり、どんなに大規模な会社でも、全体をひとつの組織として、継続的な事業成長を実現できるように、組織の活性化や効率化を支援することだと考えています。

 そしてグローバル人材・組織開発部門では、世界中のオラクルの従業員12万人の全体最適ができているかという視点を持つことを重要視しています。日本にいるとこの視点と持つことがなかなか難しいので、チャレンジではあります。

 当社は1977年の創業以来、ベンチャー企業としてかなり自由に育ってきたところがあるのですが、この10年は大規模なものも含めさまざまなM&Aを行っており、今やグローバルで12万人を超える大きな組織になったのです。

 結果、以前は各国それぞれに組織運営や人材育成をしてきましたが、近年は、本当に最適な人が国を超えてリーダーシップを担っているか、もっとも効果的な研修がグローバル標準として実施されているか、といったことがビジネスの勝敗を分ける重要なポイントになってきました。

 そこで、まず全社最適の目線で考えやすいように組織を変えました。日本の人材組織開発部の場合、グローバルの人材組織開発本部にレポートするように、ラインを変更したのです。

 それによって、
○全世界の社員が適材適所で効果的、効率的に働ける組織になっているか
○全社員が事業の成長に貢献できるスキル、知識、能力を備え、発揮できる組織になっているか

といったことをグローバル視点で考え、迅速に実行することが可能になりました。