このあたりの棲み分けができないと、自社のベンチマーク先(目標とする企業)を見誤り、多くの企業がユニクロやファストファッションの「安さ」だけに着目して戦略を立て、新しい価値提案をすることなく安売りを繰り広げて業績が悪化する。

 嗜好品の売り上げを上げるためには、どれだけの付加価値を商品に加え、結果として単価を上げるか、あるいは、どれだけ沢山の消費者に売ることができるかという視点で戦略を考える。

 嗜好品では、商品やサービスの価値が高ければ他の産業から消費を奪ってくるわけだから、競争相手より顧客が感じる価値をベースに戦略を組み立てるべきだ。だから、【嗜好品の売上規模】は、【売上=商品単価×数量】で考えるべきなのだ。つまり、前述のバリューベース戦略を執る必要がある。

 このように、オペレーションベースの戦略とバリューベースの戦略は、考え方も組み立て方も全く違う。そこを混乱し、自社の「問題の原因」と「解決案たる処方箋」のミスマッチに気づかず改革を繰り返すことが多いのが実情だ。

誤った経営戦略で戦う「悲劇」

 アパレル企業の企画部が作った「新規事業立ち上げ」などの資料を見ると、判で押したように「アパレル業界の市場規模は年々縮小しており」と冒頭に書かれており、最後に「インターネットが伸びているからそこに参入せよ」という具合に締め括られている。

 しかし、アパレルのような嗜好品で、何の価値向上の戦略も持たず、激戦区であるインターネットの市場にむやみに参入しても負けは明らかだ。ネット店舗だろうがリアル店舗だろうが、消費者は、いらないものはいらない。結果、満を持してECに参入しても投資回収がうまくいかないアパレル企業が多いのだ。

 これは、バリューベースの戦略とオペレーションベースの戦略の区別と構造を理解せずにEC事業に参入し、「利便性さえ向上させれば顧客価値が向上し売上増加につながるだろう」、つまり、バリューベースの戦略が必要なのにオペレーションベースの戦略で戦っている、という間違った戦略が引き起こす悲劇である。

(アパレル業界のEC戦略については数多くの企業が誤った理解、謝った取り組みをしており、私たちへの依頼の最も重要なテーマとなっている。このテーマについては、一歩進んでオムニチャネルというテーマで次回、詳細に説明したい。)

 もう一つ、外食チェーンで頻繁に発生している悲劇についても触れておこう。