──国を超えてそういう若い人たちが新たな共同体感覚を持ち、他者への貢献感を持てるようになれば、時間はかかるかもしれないけれど個人レベルの問題からもっと大きな問題まで、良い方向に向かうことが期待できますね。
古賀 アドラーの考え方が時代も国も民族も簡単に超えてしまうことは、今回の訪韓で強く実感できました。いま韓国と台湾でヒットしていますが(台湾でも6万部のベストセラー)、おそらくどこの国でもアドラーの考え方は強い衝撃を持って受け入れられるものと思います。次はぜひ英語圏の国にも広めていきたいですね。
岸見 アドラーはオーストリア生まれです。そして晩年は活動の拠点をニューヨークに移しました。私は『嫌われる勇気』によって、アドラー心理学がウィーンやニューヨークに里帰りすることを夢見ています。そうした逆輸入のような形で「われわれの先達はこんなことを考えていたんだ」と現地の若い世代が驚いてくれる日が来ることを強く期待しています。
(終わり)