サイン会では長蛇の列、
講演会では拍手の嵐

古賀史健(こが・ふみたけ)
ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。現在、株式会社バトンズ代表。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。臨場感とリズム感あふれるインタビュー原稿にも定評があり、インタビュー集『16歳の教科書』シリーズは累計70万部を突破。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』がある。

──2回行われたサイン会では、トータル数百人の方が並ばれてものすごい人気でした。見ていた私も本当にビックリしましたが、お二人のご感想は?

古賀 サインはもちろん握手や一緒の写真までいっぱい求められましたよね。調子に乗って舞い上がらず、地に足をつけねばと自らを強く戒めています(笑)。

岸見 日本の講演会でもサインや握手を求められることはありますが、これほど多くの方に列をなして頂いた経験は初めてですので本当に驚きました。しかも、並ばれている方たちは我々のことをほとんど知らないわけです。それにもかかわらずあれだけ受け入れて頂けたことに感謝したいです。

──韓国の方は感情の量がとても豊かだという感じがしましたね。

岸見 そうですね、感情豊かで表現がすごくストレートだと感じました。ある意味ではあまり周囲の目を気にしない。日本だと地方によっては笑うときにワンテンポ遅れることがあります。周囲の目をはばからずに笑うのではなく、他の人も笑うかなと一瞬確かめてから笑いが出る。私の経験では大阪は国内では一番ストレートですが、名古屋あたりになると少しタイムラグがあります。ところが韓国はまったくそんなところがなく、大阪の2倍か3倍ストレートで強烈でした(笑)。

講演会後のサイン会の様子。熱心な読者が長蛇の列をなした。

──質問に対する答えが終わると拍手が起きることもよくありましたね。

岸見 私の経験では、講演会の途中で拍手が起こったことは初めてでした。心の琴線に触れる話だったのかもしれませんが、それにしても日本人だと拍手はしないと思います。しかも韓国では人の反応を見極めてからではなく、自然に皆からわーっと拍手が起きていました。滞在中に2回あった講演会で似た話をしたところ、同じ箇所で拍手が起こったのも非常に興味深かったです。