今年2015年は「国際評価年」である。と言っても、ご存じない方がほとんどだろう。かく言う僕も最近まで知らなかった。国際評価年とは何か。そもそもここで言う「評価」とは何を意味するのか。
そこで、国際評価年というキーワードでググってみたのだが、該当しそうなページは1件程度。驚くほど情報がない。そんななかで国際評価年とは何かをざっくりと説明すると、「国連開発計画(UNDP)が定めたミレニアム開発目標に従事するNGOへの評価能力構築を推進する年」のこと。つまり、社会セクターがどれだけ「社会的インパクト」を出せているかをきちんと評価しよう、という世界的な動きのことだ。
しかし、このネット時代にこれほどこのキーワードがヒットしないということは、世間ではほとんど誰も国際評価年に関心がないことを意味する。社会セクターが起こした社会的インパクトに関心を持つ人が少ないとも言えるだろう。
評価への関心の低さが、
問題解決を阻害する
だが、そうした社会セクターへの評価に関心がないということは、実はさまざまな社会問題の解決を阻害する。行政の施策だろうが、NPOの活動だろうが、それがどれほどの社会的インパクトを与えたか、きちんとした評価がなければ、施策や活動に効果があったかどうか不明なまま。つまり何が本当に社会問題を解決できるのか、わからないことになる。
一例を挙げれば、かつてメディアでも話題になった「年越し派遣村」がそうだ。ご存じのように、これは2008年末に派遣切りにあった労働者のための臨時シェルターで、ハローワークが業務を開始する翌年1月5日までの年末年始の間、いくつかのNPOが実行委員会を結成し、炊き出しや生活・職業相談、簡易宿泊所の提供などの支援活動を行なった。この活動が社会的に大きな関心を集めたことを受け、翌2009年末には公設派遣村も設置。メディアやネットでも大きく取り上げられた。
しかし、ではこの年越し派遣村や公設派遣村がどれほどの社会的インパクトを与えたかというと、ハッキリと答えられる人間はいないだろう。つまり年越し派遣村に関しては、社会的な評価が何もなされていないということだ。これではこの活動が、派遣切りという社会問題に対してどれだけの効果があったかわからない。
念のために言っておくが、僕はなにも、年越し派遣村が無駄だったとか、効果がなかったとか言っているわけではない。そうではなくて、この活動に本当に効果があったかどうか、きちんとした評価が行なわれていないのではないか、ということを問いたいのだ。