依然として悩ましい職場のメンタルヘルス問題。“未然防止”が重要になる今、人事部門がどう考え方を見直し、動けばいいかを、すぐ使える具体的なツールも含めて紹介する連載です。

マネジメントスタイルの影響力 

部下のメンタルヘルスによいマネジメント・悪いマネジメント職場の人間関係は、上司の仕事に対する姿勢・部下への接し方で大きく変わります

 厚生労働省による調査で、働く人の約6割が自分の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスがあると回答しています。中でも最も多くの人がストレスと感じている項目は「職場の人間関係の問題」です※1。

 職場の人間関係は個人の問題として捉えられがちです。しかし、実は上司の仕事に対する姿勢や部下への接し方が、人間関係を含む職場風土に少なからず影響を与えています。上司がどのようにマネジメントするかによって、職場の雰囲気や働きやすさが形づくられているといっても過言ではありません。

 それゆえ、職場におけるメンタルヘルス対策や、健康いきいき職場づくりを進めるにあたり、上司のマネジメントスタイルはキーファクターの1つとなっています。誤解を恐れずに言えば、職場が活性化するか、逆に部下が疲弊してしまうかは、上司のマネジメント次第なのです。

 連載第5回である本稿では、「マネジメント」に焦点を当てて、近年研究によって明らかになっている、部下がハラスメントだと感じるマネジメントスタイル、あるいは逆に部下が最もストレスを感じないマネジメントスタイルなどを紹介し、人事労務部門からどのようなアプローチが可能なのか、考えてみたいと思います。