「上司の意図が分からないので、実行に移せない」
「部下が指示を理解しておらず、トラブルが生じた」
あなたの職場では、こういったことが日常化していないだろうか?説明をイマイチ理解しないまま仕事を進めて、トラブルの原因となってしまうのは、どこの職場でも「よくあること」と言える。自分が思っていることを上手に言えなかったり、正確に伝わらないことで頭を悩ませているビジネスマンも多いだろう。
または、上司にこう言われたことはないだろうか?もしくは、あなたが部下や妻に言ってしまうことは?
「細かく言わなくても、分かってくれよ」
これは、言いたいことがあいまいにしか伝わらなくても、お互いに推測して補完し合うことが「日本の文化」になっているためである。しかし推測が間違っていれば、やはりトラブルの元となる。
「会議が長いわりに、結論が出なかった…」
というのも、空気を読みながら結論を後回しにする話し方をする“文化”が、日本の職場に根付いてしまっているためだ。当然、空気を読むべきシーンも多々あるが、仕事上でダイレクトに、短時間でやりとりするためには、空気を読むことより「上手に伝える」ことのほうが重要である。
コミュニケーションの向上や伝え方に関してのビジネス書は多数出版され、「伝える力」(池上彰)や「伝え方が9割」(佐々木圭一)などのベストセラーもあり関心も高い。しかし、企業の現場教育においてはそれらがまだ浸透しているとは言えないのが現状だ。
なかでも、ディスコミュニケーション(相互不理解)が、人々の命の危険まで脅かしかねない現場においては、より深刻だ。例えば、医療や鉄道、そして航空業界でも危機意識は高い。「命の安全」を考えたときには、「だいたいこんな内容だろう」「後で考えればいいか」といったコミュニケーションでは済まされない。
そういったコミュニケーションによる小さなミスや行き違いをなくす地道な努力は、様々な企業で続けられている。なかでも最近注目を集めているのが、日本航空(JAL)が3年前から取り入れている「言語技術教育」である。その取り組みを具体的に紹介しよう。