2016年就活は採用スケジュールが前年までより4か月後ろ倒しになったが、いよいよ8月、選考が解禁された。とはいえすでに多くの企業が、実質的な選考をスタートさせており、8月1日からの選考は、セレモニーのような「内定出し」であるのが一般的だ。
しかし、ここで就活が完了する、という学生ばかりではない。「本当に入りたい会社」、「本当にやりたい仕事」を求めて、活動を続行する学生も多い。一方、企業の側も、本当に欲しい人材を求めて、採用活動を続けていく。
佳境を迎える
2016年就活
ビジネス街の喫茶店に就活生の姿がめっきり増えた。8月1日の解禁に向けてフル回転になっているようだ。
7月の最終週に、喫茶店に入ると、男女2人の就活生が真剣に話し合っていた。声が大きかったので、一つ机をおいた位置に座っている私の耳にも会話が聞こえてくる。
どうやら解禁日である8月1日の活動について話していた。女性はすでに内定を得ていたのか、ほとんど聞き役で、専ら男性が相談を持ちかけていた。
「9時に、A社に行って時間的拘束を受けると、午前中にはB社には廻ることはできない。どちらの会社を先に訪問するかがポイントだ。C社は8月1日には必ず廻っておきたい」など、志望度や面接の進み具合を考慮に入れて会社訪問のスケジュールをシュミレーションしていた。私が席を立つときにも2人はまだ話に夢中だった。
いよいよ就活も佳境を迎えようとしている。
「来年にずれ込んででも
予定人数は確保するつもりです」
一方で6月末に、中堅企業の人事担当者と話す機会があった。
その会社は、昨年までは、大手企業の採用が一段落してから本格的にリクルート活動を始めた。しかし今年は解禁が8月に繰り下がったので、早くから内定を出し始めているという。
「大手企業の合否が決まってからだと、10月の内定式に人数を確定できないからですか?」と聞いてみると、「それもあります。加えて今年は、退職者も多く出ているので新入社員を入れないと業務に支障が出る恐れがあって、なんとしても予定人数を確保しないといけません。場合によっては来年にずれ込んでも続ける覚悟です」と答えてくれた。
会社側からすれば、内定を出しても、その学生が翌年の4月に入社しなければ採用したことにはならない。企業側もこれからが勝負どころになる。