組織の重要な「意思決定」はいかにして行われるのか。テレビドラマでは、情熱的なプレゼンが行われ、それを見て心を動かされた社長が「よし、それに賭けてみよう!」となる。『プロジェクトX』などでそういうシーンを見たことがある人もいるだろう。
もちろん、そういうこともあるにはある。しかし、通常のほとんどの意思決定はそのようにドラマチックなものではない。
実際には、あることを実行したいと思っている(実力)者が、最適だと思われる機関を利用して、自分の個人的な意思を巧妙に組織の意思に作り替えるのが「意思決定」だ。検討に必要な材料を揃え、いろいろな人が意思決定に参画した形式を整え、正当性を確保するだけなのだ。そのため、他の意見が入る余地は小さいし、シナリオ外の決定はほとんどない。いわば、「意思決定ロンダリング」と呼んでもいいだろう。
官公庁のシナリオ通りに
御用学者や財界人が動く「委員会」
この手の「意思決定ロンダリング」は、国や自治体の意思決定プロセスでもよく用いられる。恣意性を排除するために、「衆知を集める」という名目で「委員会」を組織することが多いが、そこに「御用学者」や「御用財界人」が集められることになる。すでに明確な意思を持っている事務方にとって都合のいい意見を言って、追認してくれる人たちだ。
そこでは「お互いに空気を読み合って」「自分の範囲を越えず」「流れに沿って」「阿吽の呼吸で」話し合いをする技術が求められる。あまりに賛成一色だと困るので、あえて異論を述べてくれる少数の「反対派」は入れてあるものの、多数派はしっかりと押さえてある。