「パニック」という言葉が
規制につながる理由

 今年3月、第3回国連防災世界会議が仙台でありました。
 同時に開催された世界防災市民会議で世界中の災害のプロフェッショナルとディスカッションして非常に興味深かったのは、アメリカで災害復旧を専門にするNGOの代表が「パニックという言葉を安易に使わないで」と言ったことです。

「なんで?」と聞いたら、パニックというのは権力者の常套句だから、と。
「パニックになるから自制しましょう」「パニックにつながるから報道は規制しましょう」と。何かをコントロールしたい側が、パニックという言葉を使って行動に制限をかける。
 たしかに、「パニック」というひと言は、人々が考え、行動する力を奪ってしまいます。
「サンタスザーナ野外原子炉実験所」(本連載第12回)のことを報道できなかったのも、「パニックにつながるから」という警戒心のためです。

広瀬 たしかに、メディアが重要な事実を率直に伝えません。
 2012年6月22日に、大飯原発再稼働に反対する首相官邸前デモが5万人になっても一切報道がありませんでした。それで寄付金を募って、一週間後に市民の力でヘリコプターを飛ばし、20万人デモの空撮の映像を、全国の人に見てもらいました。

 あれは素晴らしい空撮でした。

広瀬 テレビも新聞も報道しないなら、自分たちで見せなければならないでしょ。原発再稼働に反対している人が大勢いることを、一般国民が知ることもできない。そんなおかしな話はない。そこで、堀さんが、「8bitNews」という市民メディアを使って、今後も具体的にどんどん情報を発信してくださる。希望の星です。

 みんなで力を合わせて、大事な事実を伝え合いましょう。

広瀬 堀さんは若いから、これからの活動に、みんな大いに期待しています。
(おわり)