不倫だけが原因ではない
トップの孤立はこうして起こる

 このような事態は、有能なナンバー1と無能なナンバー2のいる組織でも、良く起こることだ。組織で何が起こっているかをリアルタイムに、偏りなく知ることの重要性を認識し、そのための人間関係を作っておくことが、ナンバー2には求められる。

 不倫という関係に限らず、ナンバー1とナンバー2が閉ざされた関係をつくってしまうのが、一番いけない。社員にとって、ナンバー1を批判することが、そのままナンバー2を批判することになるため、重要な意見を吸い上げることができなくなる。そのため、ナンバー2は、ナンバー1と同じヴィジョンを共有しつつも、他の社員に対して、よりオープンな人間関係を築く必要があるのだ。

 新選組がうまく機能したのも、土方歳三というナンバー2の有能さに依るところが大きいのは、さまざまな歴史家や小説家が認めるところだ。

 大きな組織になると、個人の力量だけではうまくいかなくなることが多いため、人事評価システムそのものが重要となる。組織で何が起こっているかを正確に把握するための情報を集めて、初めて効果的な人事が可能となるだろう。だが、部署単位では、やはり人間が重要となる。ナンバー1が無能な場合は論外としても、上記のような失敗例はたくさんあるだろう。

 職場の人間関係が重要となるのは、組織にとって重要な情報が、そういった人間関係によって隠ぺいされてしまうことが、しばしば起こるからだ。今回の例では、その中でも一番典型的な「男女関係」が引き金を引いた。だが、同性同士でも、情報のフローを阻害するようなことが起これば同じ結果を招く。

 そして重要なことは、この例でもあるように、当事者はそんな意識は全くないという点だ。むしろ自分は組織のために頑張っているのに、なぜ部下が思うように働かないのか、不満を貯めてしまう。だがその原因は、他ならぬ本人たちが意図せず作った、情報フローの障害にあるのだ。

 自分は頑張っているのに組織が良くならない、と不満を持っている読者諸氏は、組織のナンバー1とナンバー2の関係に注目してみよう。そしてもし自分が、そのどちらかならば、自分に原因があるかもしれないことを、知っておくべきである。