このように管理職や経験豊富な人材であっても仕事と介護の両立が困難となり、退職に至るケースは少なくなく、損失は個人だけでなく会社にとっても大きく、社会問題化しつつあります。会社も退職に至らないように、時短やワークシェア、あるいは在宅勤務など介護する社員に対してケアをするようになりました。もはや家族を介護するのは当たり前という状況になりつつあるかもしれません。

 また、団塊世代が70歳代に突入する2017年前後からは介護離職者の増大が予測され、大きな懸念になっています。現在40代前後の社会人のなかには「将来的に介護をすることになる」と既に覚悟をしている人も多いようです。

 中央大学が40歳以上の会社員約7000人にアンケート(「仕事と介護の両立に関する2014年調査」)を取ったところ、今後5年間で「介護を担う可能性がある」と答えた人が86.7%にのぼったと言います。この世代は職場で重要な任務を行っていたり、部下も抱えていたりと、離職すれば現場への影響は免れません。介護離職は会社の課題でもあるのです。

少なくないアラフィフ女性の介護離職
国が乗り出した対策の中身は?

 ちなみに介護と仕事を両立している人は、現在約300万人とも言われています。介護のために離職する人は年間で約10万人。30人に1人が両立を断念していることになります。年代別に「介護離職」の割合みると、男性は年齢による差はほとんどないものの、女性は個人的理由で離職した人のうち「介護」を理由とする人の割合が「55~54歳」と「60~64歳」で高くなっています(厚生労働省「平成26年雇用動向調査」)。男性の介護者が増えたといっても、女性に介護負担が偏っているのは否めない実態でしょう。

「母親の認知症が進行して、介護のために会社に行けない日が増えていました。このままでは会社に迷惑をかけてしまうと思い、退職を決意しました」

 そう話してくれた女性は、人材派遣会社の管理部門に勤務していたSさん(48歳)。夫婦でどちらが介護するのか、家族会議を重ねて、その結論としてSさんが会社を辞めることになりました。