北茨城市を見習え

マコ 北茨城市は、来年度から2巡目の検査もする、としています。
 そういうことを決めているのは北茨城市だけです。
 そのほかの自治体では、検査をしている担当部署が、福島県の検査内容を理解していないこともあります。
 たとえば、A1、A2は「経過観察不要」と発表している自治体がありますが、福島県ではA1、A2でも2年後、20歳を超えると5年後に経過観察としています。

 1回目は、いままで甲状腺ガンの検査をしていない人たちが一斉に検査をするので、事故前に元々あったガンを見つけるケースもあり得ます。

 でも、2回目の検査で、小児甲状腺ガンの悪性ないし悪性疑いと診断された25名のうち、13名は1回目の検査ではA1判定です。つまり、甲状腺に何もなかった状態だったのに、2~3年後には手術するサイズの腫瘍ができているのです。稀少なガン、進行が遅いガンという説明でしたのに、これは大問題だと思います。

広瀬 このダイヤモンド書籍オンラインで、前回に対談してくれたOurPlanet-TVの白石草(しらいし・はじめ)さんも、そのことが重大事なのだと言っています。
茨城県は全市町村で検査するべきだと思います。県の全域が汚染されたのだから。

マコ そうです。医師に取材すると、日立市、高萩市など、福島県に近い茨城県の北部で甲状腺ガンが出ています。親子二代、三代続けてきた開業医が、自分の診療圏では数十年にわたって子どもの甲状腺ガンなんて一人も出なかったのに、原発事故のあとに発症してきているので、この事態に大きな疑問を持っています。

 ダイヤモンド書籍オンライン第39回で紹介されているように、岡山大学の津田敏秀先生が2015年10月8日に、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見をして、

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故のあとに甲状腺がんの発症が多発したケースが、福島に重なる事態は避けがたい

 と警告されていますが、その津田先生が、

福島県より人口密度が高い茨城県で、患者数が増える可能性がある

 とおっしゃっています。放射性ヨウ素の汚染プルーム(放射能雲)は、福島第一原発から南の方向に濃いものが流れ、沈着せず、関東地方の全域に、東京まで広がりました。そして、汚染プルームが流れた時間帯が、福島県では早朝ですが、茨城県では昼すぎだったので、人が外に出ている時間帯だったとのことです。