3月期決算企業の第1四半期(以下1Q)の決算発表が本格化している。

 例年、決算発表シーズンは、PER(株価収益率:株価÷1株当たりの利益)やPBR(株価純資産倍率:株価÷1株当たりの純資産)などの投資尺度を使った銘柄選別が厳しくなってくる場面だ。

 決算発表時に企業が予想利益を修正することを前提に、それを期待した投資家の先回り買いがなされたり、修正のサプライズによって投資尺度の評価を超えて売買されたりするためである。

 しかし、過去の経験から見て現実は異なる。1Qの業績発表で実際に業績修正される銘柄は少ないのだ。昨年2009年に修正された銘柄は12.2%、08年に修正された銘柄は14.0%、07年は10.9%であった。

 例年、10%程度の企業しか修正しない。ちなみに、2Qは例年、6~7割以上の企業が業績修正をすることと比べると圧倒的に低い。

 これは、1Qがまだ年度の4分の1しか経過していないため、本決算発表時に出した業績予想を修正することに抵抗があるためだろう。

 また仮に足元の業績が好調であっても、後で急激に収益環境が悪化することも考えられる。特に今年度は、円高や世界的な景気の後退懸念も根強く、例年同様に1Qで業績修正を行う企業はそれほど多くないだろう。

 期待ほど会社予想の修正がされなければ、1Q決算発表が一段落するタイミングで、投資家は足元の企業業績の魅力を見直す場面となるだろう。そこではPERが注目されるはずである。