春はお花見、ゴールデンウィークなどイベントが目白押しだが、ビジネスパーソンの場合、季節に関係なくアルコールに接する機会が多いだろう。酒が他の嗜好品と異なるのは、精神や身体にその場で大きな影響を与える点だが、それこそが酒を飲む理由でもある。最大の問題は翌日までその影響が残ること。つまり「二日酔い」だ。
経験のある人なら二日酔いが何なのかは身体でわかっている。「酒が残っている」のだ。だがその正確なメカニズムは解明されていない。脱水や低血糖、アセトアルデヒドの影響、酒に含まれるメタノールや不純物などの影響が挙げられているのだが、どれも有力であるものの特定は難しい。複数の要因が複雑に影響し合った結果が二日酔い、としか説明のしようがないというのだ。
二日酔いのメカニズムを
“アセトアルデヒド元凶説”から考える
とはいえ最も有力で耳にすることの多い、アセトアルデヒド元凶説を中心に二日酔いのメカニズムを考えるとこうなる。胃や腸で吸収されたアルコールは血液を通して肝臓に送られる。アルコールはまず「アセトアルデヒド」になり、さらに「酢酸」へ、そして「水」と「二酸化炭素」へと段階的に分解されていく。
このアセトアルデヒドは有害物質であり、肝臓の分解処理が追いつかず血液中のアセトアルデヒド濃度が高くなると「頭痛」「吐き気」「発汗」「脱力感」などの二日酔いの代表的な症状が現れる。
肝臓はアルコールやアセトアルデヒドの分解を優先するため、他の栄養素の代謝やブドウ糖の合成の機能が後回しになってしまい、「低血糖状態」を招く。さらに「脱水」「のどの渇き」はアルコールの分解には多量の水が必要となるためで、「胃腸の障害」はアルコールの刺激による胃酸の分泌過剰や粘膜の破壊によると考えれば、アセトアルデヒド元凶説でだいたいの説明がつく。
日本人は一般に酒に弱いとされるが、実際アセトアルデヒドを分解する脱水素酵素(ALDH)の働きが弱い人が45%、まったく働かない人も5%ほどいる。二日酔いに悩まされる人が多いのも納得だ。