非資源分野の川上溯上、社内道場、そしてアジアシフト――。極度の資源分野依存体質からの脱却を図る三井物産の成長戦略を、飯島彰己社長に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)

三井物産 飯島彰己社長
Photo by Masato Kato

 現状は“資源の専門商社”といわれるほど、資源エネルギー分野に偏った収益構造で、利益の8割強を占める。したがって、市況要因による収益変動リスクが大きい。今後は、非資源分野を強化し、中長期的には、資源エネルギー分野と非資源分野の利益割合を、50:50に持っていきたい。

 非資源分野の収益基盤を確立するといっても、ローマは一日にして成らず、だ。非資源分野のなかでも事業投資に積極的に取り組み、三井物産らしいビジネスモデルを構築していく。

 今期の投融資額は7000億円で、非資源分野には4600億円投資し、そのうち2400億円はインフラ事業に振り分ける。水、電力など、アジアを中心とした新興国のインフラ需要はまだまだ増えていく。相手国の経済成長にも寄与でき、長期間安定した収益が期待できる。

 そうして人口が増え、経済発展に弾みがつけば、鉄の需要も増える。商社で鉄に長年携わってきた人間としては、21世紀も鉄の時代であることは変わらないと考えている。鉄鉱石は、今ほど伸びないかもしれないが、急激に落ち込むこともない。中長期的にはむしろ、逼迫する。