関税交渉が合意した米トランプ大統領と赤澤経済再生担当大臣関税交渉が合意した米トランプ大統領と赤澤経済再生担当大臣。自動車関税は15%で決着した。ホワイトハウスのX(旧ツイッター)より

日本と米国の関税交渉が妥結し、自動車の追加関税は12.5%、従来の2.5%分と合わせ、今後は15%の関税となった。すでに発動されていた25%から低下したことで、安堵の声が挙がる一方、自動車メーカー各社は米国の関税措置による流血が続き、減益ラッシュとなることを忘れてはならない。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

米国では「実質値下げ」するなどして関税影響を緩和
自動車メーカーは今後も「やせ我慢」を続ける!?

 日本と米国の関税交渉の最大の焦点の一つだった自動車関税がようやく決着した。

 4月から発動されていた自動車に対する25%の追加関税は12.5%に下がり、従来の2.5%分と合わせ、今後は15%の関税が日本から米国に輸出する自動車にかかる。

 米国と関税交渉を行ってきた赤澤亮正経済再生担当大臣は、関税合意直後「自動車産業は基幹産業で、すそ野が広く、『ここは守らなきゃいかん』という思いでやってきた」と明かした。

 妥結を受け、株式市場では自動車株が高騰した。23日の株価終値は、前日比でトヨタ自動車が14.3%高の2855円、ホンダが11.2%高の1650円、日産が8.3%高の330円であった。売上高に占める米国販売比率が高いSUBARUが16.6%高の2939円、マツダも17.8%高の995円となった。

 追加関税の軽減という交渉の結果は、業界内や株式市場で「サプライズであり、ポジティブ」と受け止められている。だが、その裏で、自動車メーカーは米国の関税措置の影響を受け、減益ラッシュへと向かっていることを忘れてはならない。

 次ページ以降では、日本の自動車メーカーが北米市場で、「実質値下げ」の消耗戦となっている実態と共に、自動車メーカーが部品メーカーへの補償に追われる様子を明らかにする。7月24日の三菱自動車を皮切りに、自動車メーカーの26年3月期第1四半期の決算シーズンが始まる。メーカーからの流血は続き、減益ラッシュは避けられない。