インテルがセキュリティソフト開発会社のマカフィーの買収を発表した。買収額は76億8000万ドルにものぼる大型案件だ。

 インテルはコンピュータに内蔵される半導体開発・製造の最大手。半導体の世代を着々と前進させてきた堅実なハードウェアのメーカーである。一方のマカフィーは、「アンチウイルスプラス」などのセキュリティソフト製品を企業、個人消費者向けに開発してきた。規模の大きいサイバーアタックが起こるとすぐ立ち上がり、どこに穴があったかをわれ先にと突き止めて発表するので、その名を知っている方も多いだろう。

 つい最近は、インターネットでセキュリティ上もっともリスクが高いセレブは、キャメロン・ディアスだなどというリサーチ結果を発表。ディアスを検索して情報収集したりすると、悪い奴がいっぱい罠(わな)を仕掛けていると注意を喚起した。

インテルはコンピュータから
ネットワークデバイスに舵を切った

 この2つの会社が結びつくと一体どうなるのか。

 要はこの動きは、インテルがコンピュータという主流ビジネスから、モバイル分野やネットワークデバイス分野へと大きく舵を切ろうとしているというのが、もっとも有力な見方だ。

 その理由のひとつは、すでに見られるPCからモバイル製品への移行だ。PC市場は飽和状態に見えるのに対して、iPadに代表されるタブレットコンピュータは、またひとつの新しい製品分野を築いた。これからタブレット新製品がどんどん発表され、今後が大いに期待される成長分野だ。

 モバイル製品だけはない。ネットワークデバイスというまだ見ぬ製品分野もある。これは、われわれユーザーが操作をしなくてもデバイス同士が接続し合って、勝手に機能してくれるような製品群である。